おうちでロック〜CD紹介⑫〜
こんにちは、町屋菊一です!
CD紹介のコーナー
第12弾は……
ハルメンズ/近代体操+8
ハルメンズとは80年代初めに活動したサエキけんぞう氏率いる日本のニューウェーブ、テクノバンド。
このアルバムは1980年にリリースされた
「ハルメンズ近代体操」に未発表のデモ音源を収録したアルバムになっている。
【収録曲】
1.昆虫軍
2.暗いところへ
3.フリートーキング
4.電車でGO
5.モーター・ハミング
6.ライフ・スタイル
7.キネマの夜
8.リズム運動
9.私 ヤ ヨ
10.レーダー・マン
11.アンドロイドな女
12.ボ・ク・ラ パノラマ
蔵出しボーナストラック
13.昆虫軍
14.アンドロイドな女
15.電車でGO
16.モーター・ハミング
17.幸福の未来
18.暗いところへ
19.母子受精
20.ボ・ク・ラ パノラマ
※トラック13以降はDEMO
印象に残っている曲をかいつまんで解説すると…
1曲目の「昆虫軍」はとある街でバスに向かって歩く多くのサラリーマンの群衆に触発されて書かれた歌詞。この曲は前途の戸川純さんもカバーしている。
「昆虫軍」戸川純
2曲目「暗いところへ」
こちらはコミカルな曲だが歌詞は非常に危ない笑 コンプライアンス的に現代なら苦情やクレームが来そう。笑
4曲目の「電車でGO」
シンセサイザーとギターが特徴的な楽曲。歌詞に出てくる風景はサエキけんぞう氏曰く総武線 津田沼~幕張間がモデルらしい。
こちらも戸川純さんがカバーしているのでそっちのバージョンで知っている人も多いのではないだろうか。
【戸川純バージョン】
【ハルメンズバージョン】
5曲目 「モーター・ハミング」
サエキけんぞう氏も自身で言っているがハルメンズの雰囲気が最も良く出ている楽曲。
僕もそう思う。
最後の効果音は実際にキッチンのものを使っている。
キッチンからはモーター・ハミング
キッチンからはモーター・ハミング
キッチンからはモーター・ハミング
このフレーズとメロディがなんともくせになり中毒性のある曲。
人混みながめてひと安心
ビルをながめてひと安心
車の音にひと安心
ネオンの色にひと安心
7曲目「キネマの夜」
うってかわってレトロなでアコースティック?な感じの曲
"キッネマの夜っ〜
シネアストたち〜のロマン"
思わず口ずさみたくなるリズムとメロディ。
10曲目の「レーダー・マン」
この曲が1番聞いたことのある人も多いかもしれない。こちらも1984年の戸川純さんのカバーで有名。
全体的にテクノっぽい曲で構成されているアルバムだがギターサウンドがロックンロール的であったりとなかなか個性の強い作品となっている。
計算されているようだが自然に生まれたものが多いらしくいわゆる元祖電波ソングと言えるのかもしれない。
13曲目以降はDEMO音源になっておりハルメンズの起源になったような音源が収録されている。またドラムの音などもとても実験的で面白く実験的要素満載な作品になっている。
前衛、テクノ、ポップ、コミカル、などが好きな人にはオススメの一枚です。
それでは、また次回!
筆者:町屋菊一
おうちでロック〜CD紹介⑪〜
こんにちは!町屋菊一です。
CD紹介のコーナー
第11弾は
第1弾で「夏のぬけがら」を紹介した真島昌利の3枚目のソロアルバムです!1992年リリース
【収録曲】
1.RAW LIFE
2.俺は政治家だ
3.Go!Go!ヘドロマン
4.エゴでぶっ飛ばせ
5.かしこい僕たち
6.煙突のある街
7.ドライブしようよ
8.情報時代の野蛮人
9.関係ねえよパワー
10.こんなもんじゃない
11.RAW LIFE(reprise)
12.ですメタル
前回紹介したアルバム「夏のぬけがら」とは
うってかわってロック調の曲が多い作品となっている。真島昌利については第1弾かWikipediaをご覧いただきたい。
僕はこういうマーシーの日本語ロック調の曲を
真島ロックという、ジャンルとしてみている。
アルバムタイトルにもなっている曲「RAW LIFE」はまさにその真島ロックの真骨頂と言えるのではないだろうか。この歌詞の感じはブルーハーツ、ハイロウズ、クロマニヨンズにおいてもマーシーの作る曲には共通する部分があると思う。
2曲目 「俺は政治家だ」この曲の歌詞も
ザ・日本語真島ロックという感じ。
洋楽を直接和訳したような感じ。
「RAW LIF」
俺たち全部くたばってもこの星には関係ないよ
グルグル回り続けるだろう
グルグル回り続けるだろう
膨大なロマンの記憶だけ乗っけたまんま”
「俺は政治家だ」
“俺は政治家だ俺に金をくれ
もしもこの俺を信じるのならば
欲望の前に大志が崩れる
こっちを立てればあっちが立たない”
冒頭2曲の
これらの歌詞はまさに今の世の中にめちゃくちゃ当てはまるような感じがする。
と、聴いていて思った。
というかこのアルバムだいたいの曲がタイムリーな内容で構成されている。笑
そして僕が一番好きな曲「こんなもんじゃない」は長い曲だが一節一節の詩が聴く人に刺さるような曲ではないだろうか。ゴスペルのようなコーラスとパーカッション、マーシーのハスキーボイス相まり非常に素敵な曲となっている。
ファンの人には この曲を聴いて
映画「俺たちに明日はない」を観た人もいるのではないだろうか。
ボニーとクライドが今夜もやってくる
そしてラスト.ボーナストラックの「ですメタル」こちらは全くと言っていいほど多分歌詞に意味はないと思う笑 けどバックの演奏がカッコいい笑
因みに再発盤には
ソロのライブバージョンが収録されている
2枚組となっており
こちらもなかなかレアな音源。
The Clashがカバーしたことで有名なSonny Curtisの「I Fought the law」の和訳カバーも収録。初めて聴いた時は「法律と俺は闘った、法律が俺に勝った」というあまりの直訳に少しニヤニヤしてしまった。
こんな時代だからこそ今聴いてほしいアルバム。Apple MUSICにもあるので是非!!
それでは、また次回!
筆者:町屋菊一
おうちでロック〜CD紹介⑩〜
こんばんは!町屋菊一です。
CD紹介のコーナー第10弾は、、!
↑THE HIGH LOWS↓/バームクーヘン
日本のロックバンド ザ・ハイロウズによる1999年発売の4thアルバム。
【収録曲】
1.罪と罰
2.チェンジングマン
3.二匹のマシンガン
4.モンシロチョウ
5.ハスキー(欲望という名の戦車)
6.ダセー
7.見送り
8.死人
9.彼女はパンク
10.ガンスリンガー
11.21世のフランケンシュタイン
12.ガタガタゴー
13.笑ってあげる
14.バームクーヘン
このアルバムは全てメンバーだけで行っており自身のスタジオ(アトミック・ブギー・スタジオ)でプロデュース制作したものとなっている。
1曲目の「罪と罰」ダークでロックなナンバーから2曲目こちらもマイナー調の曲「チェンジングマン」と疾走感溢れる出だしの爽快なアルバム。
初見は、個人的にはあまりパッとした曲がないイメージだったが聴けば聴くほど一曲ずつの深みがわかるいわゆるスルメ版かもしれない。
特にこのバンドには珍しく「見送り」など若干切ないようなそんな曲も収録されている。
一方で「ハスキー(欲望という名の戦車)」や「二匹のマシンガン」など明るくアップテンポの曲も収録されておりバラエティに富んだ作品ではないかと思う。
「死人」という曲の一部
“死んだ人よりも可能性がある
なぜならば俺は生きてるからだ”
こんなごく当たり前のことを当たり前に説得力を持って訴えられるのはこのバンドにしか出来ないのでは…という感想。
「笑ってあげる」
タイトルは一見、なんだか誰かを慰めるような前を向けよ的な意味合いな曲かと思えば皮肉たっぷりの曲。個人的にはこの曲が一番好き。
そしてラストのタイトルナンバー飾る「バームクーヘン」
短くシンプルな楽曲だが歌詞がとても深い。
“例えでっち上げたような夢も
口から出まかせでも良い
現実に変えてゆく
僕らはそんなカタチ”
この一節が特に好き。
まさにこのアルバムは名盤のひとつではないだろうか、、!!
百聞は一見にしかず
是非今こそ聴いてみてほしいアルバムです。
それでは、また次回!
筆者:町屋菊一
おうちでロック〜CD紹介⑨〜
こんにちは、CD紹介のコーナーです。
第9弾は…
赤痢/SEX,SEKILI,AND,ROCK'N'ROLL
赤痢というインパクトがある名前のバンドだがガールズバンドであり1980年代前半から1995年まで活動していた。
多分日本のガールズロックバンドの先駆け。
Wikipediaの情報によると、かの有名なソニック・ユースのボーカルもファンであるらしい。
このアルバムは未発表ライブ音源をCD化したもので正直かなり音質も悪くノイズも酷く
いわゆるブート版のような音質だが…
それも相まって当時のライブハウスの熱気、賑わいなどがひしひしと伝わってくる。
バキバキに歪ませたギターにベース
爆音のドラムサウンドは
ハードコアパンク、ガレージが好きな人にはハマる作品なのかもしれない。
ガールズバンドのライブであるが
その熱気と勢いはそこら辺のチョロい男のバンドなどでは太刀打ち出来ないだろう…
過激なバンドやガールズバンドが聴きたい人にはまずオススメのアルバム。
こういうバンドが今もいたら知りたい。
また歌詞の内容もエグく甘くみてると狩り殺されるようなそんなバンドだ。
筆者:町屋菊一
おうちでロック〜CD紹介⑧〜
CD紹介のコーナー第8弾は…
ほぶらきん/メジャーデビュー
失礼ながら もはや令和の日本で知っている人がまだいるのかというバンドかもしれないが、、
このバンドのことは自分が高校1年の頃
NHK-FMで放送されていた「今日は一日パンク三昧」というエグいコーナーで知った。笑
“ほぶらきん”という1979年から83年にかけて活動した滋賀県発のプログレ、、?ガレージ?ロック?アングラ?アバンギャルド?なジャンルを奏でていたバンド。(別名:滋賀の奇蹟)
自宅のガレージで友人を集めライブをしたり
小学生の兄弟が歌っていたりと
なかなか面白いアルバムなので紹介したい。
もはやどこから突っ込んで良いかわからないアルバム。CDは2枚組なのだがDisc1にはなんと69曲が収録されている(笑)
Disc1は本当に1分にも満たない曲がライブで演奏されていたり何故か自宅ガレージで演奏されている音源なども収録されている。
Disc2はレコーディング?されたのかまとまった音声で聴き取れる(CDに対して変な表現だが笑)32曲収録。
演奏も歌も5000歩譲っても上手とは言えないがもはやその内容は僕らの中にある「常識」「概念」「価値観」を覆してくれる。音楽界隈でよく耳にする「独特な世界観」などという陳腐な言葉では収まらないそんな楽曲でありバンドだ。
史上最悪のロックバンドと言われたアメリカのバンドTHE SHAGGSにも色んな意味で勝るとも劣らない。
(THE SHAGGS↓)
しかしその一方で“ほぶらきん”というバンドは関西インディーシーンの伝説的存在ともなっている。
同志社大学では学園祭のEVE祭、京都磔磔、新宿ロフト 名あるライブハウスやイベントに出演している。
他、日本のパンクバンドとして知る人も少なくないスターリンや世界初のノイズバンド非常階段などとも共演しているというなんとも不思議なバンド。
自分も最初聴いた時は絶句したが聴けば聴くほど癖になる。このバンドに「意味」などという無意味なものはそこに存在しないのではないかとさえ感じる。また当CDの解説者JOJO広重氏(非常階段)曰く「日本人が1983年までに聞いたであろう全ての音楽がそこに存在し、ごちゃまぜにされ、時に猥雑に時にアーティスティックに意味と無意味の極限が実にユニークな形で融合している(中略)」とまで言わしめている。
もはやほとんど資料もなくネット時代に探してもなかなか情報が見つからないそんなバンドではあるが謎の魅力と中毒感に包まれるかもしれない。
人によっては「こんなもの聴いてられるか!」「こんなのが音楽とは認めない!」という人もいるかもしれないが
それは紛れもなくそこに存在した伝説のバンドなのです。
計算された演奏なのか計算された符割なのか計算された演出なのか彼らの前ではもはやそんな常識は通用しない。
奇跡的に貴重なライブ映像がYouTubeに上がったいたので興味のある方は是非観てほしい。
ある意味では滋賀県を代表する
T.M.Revolutionより凄いアーティストかも知れない、、
それでは、また次回!
筆者:町屋菊一
おうちでロック〜CD紹介⑦〜
こんばんは、町屋菊一と申します。
今日紹介するのは音楽とは少し離れて
まだ寒さも残る春ですが………
稲川淳二/MYSTERY NIGHT TOUR〜稲川淳二の怪談〜selection13 です。
その名の通り言わずと知れた怪談師
稲川淳二氏の怪談を集めたアルバムである。
4つの噺と2曲が収録されている。
【鏡のない洗面台】
とある出張先の旅館で何故かその部屋の洗面には鏡がなかった。その違和感の正体とは…
【人面相】
とある女性の話。
ある日から始まった奇妙な話。
怖いというより
不思議なお噺。
【樹海〜暗闇の絵馬】
もはや怪談の定番と言っても過言ではない樹海を舞台にした話。
暗闇の中樹海で巻き起こる恐怖が淡々と描かれている。
そして、、
【赤い半纏】
稲川怪談の中でも有名な話。
30分を超える大作でもある。
戦時下における日本の文教場を舞台とした話であり怖いという感情だけでなくどこか寂しく悲しい日本の歴史ならではの内容となっている。
稲川淳二の怪談を聴いた事がないという人も
小学校の頃、図書室にあった本や夕方にやっていたアニメなどで「あか〜いはんてん(ちゃんちゃんこ)着〜せましょか〜」というフレーズ、台詞をもしかしたら一度は聴いたことがあるのではないだろうか。その元ネタ(という言い方は無粋だけど…)になった話でもある。
このCD、怪談だけでなく冒頭に触れたように
曲が入っている。
【赤いはんてんの唄】
前途の怪談をモチーフにした楽曲。
少し怖い雰囲気であるものの歌い手の樋口舞さんという方による美しい声とピアノの音、歌詞の内容も相まって美しい内容となっている。
【怪談爺ぃの唄】
こちらは一転してユニークな曲。
余談だが作曲は前回別記事でも紹介した日本のパンクバンド
頭脳警察の PANTA氏によるものでありはじめて知った時は驚いた。笑
稲川淳二氏のライブMYSTERY NIGHT TOURの際にもロビーやあちこちで流れている。
(なぜ知っているかというと毎年にライブに行っているから)
と、怪談あり音楽ありのなかなか充実した作品となっている。この家に居る期間が多い今日
寝る前に怪談などを聴くのも良いものです。
5時間耐久 稲川淳二の怪談を最後に貼っておきますね。
それではご機嫌よう。
筆者:町屋菊一(虚言倶楽部)
おうちでロック〜CD紹介⑥〜
こんにちは、町屋菊一です。
CD紹介のコーナー
第6弾は
頭脳警察1 です。
ロック好きなら一度は見た事があるかもしれない。
頭脳警察というバンドはPANTA(Vo.Gt) トシ(per.)で1970年に結成された伝説のパンクバンドである。もはや日本語パンクの先駆けと言っても過言ではない。
頭脳警察/1
1.世界革命戦争宣言
2.赤軍兵士の詩
3.銃をとれ
4.さよなら世界夫人よ
5.暗闇の人生
6.彼女は革命家
7.戦争しか知らない子供たち
8.お前が望むなら
9.言い訳なんかいらねえよ
10.銃をとれ(part2)
ファーストにしてライブアルバム。一見、コード進行やサウンドは案外ソフトでフォーク的なのだが歌詞の内容は過激で放送禁止用語連発、発禁納得の名盤だ。一曲目の「世界革命戦争宣言」は冒頭からブルジョアジー諸君!という怒号から始まる。こんなCDは多分世界でもこれだけかもしれない笑
そして「赤軍兵士の詩」「銃をとれ」と革命的な楽曲でライブもアルバムも加速して行く。
4曲目の「さよなら世界夫人よ」でスローなバラードになったかと思えば内容は世界の国やお偉いさん達に対する皮肉たっぷりの歌詞だ。
5曲目の「暗闇の人生」これは自分がこの道を歩んだことへ対する恨み、後悔か、はたまたこんな時代へ生まれてきたことへの後悔か
アルバムの中では際立ってブルーな曲となっているがこちらはトシのパーカッションが特に良い味を出している。
“何回となくこの身よじれ流され
頭から爪先まで汚れきってしまった”
後半の曲はラブソングが多い。学生運動をしている学生の束の間の恋愛だろうか(彼女は革命家)そんな曲や男と女の泥臭い愛や欲望が歌われている。(言い訳なんかいらねえよ/お前が望むなら)
歌も演奏もお世辞にも上手いとは言えないが知的で文学的な詩は政治的思想や価値観などは別としても好きになる人もいるのではないだろうか。もはや音楽の域を超えて当時の背景などがうかがえる価値のある歴史的資料と言えるかもしれない。
音楽から昔の時代背景、価値観、文化などに踏み込んでみるのも面白いかもしれない。
それでは、また次回!
筆者:町屋菊一(虚言倶楽部)
@machiya_3rock